皆さんこんにちは! クレイン鳥取大通店の池内です。まずはこちらの写真をご覧ください。
この一番左の人は誰でしょう? わかるかな〜? わかんないだろうな〜 。
実は去年の8月、本社ショールームがリニューアルした時のオープンイベントでパフェを出させていただいた際に、お客様からチャリティで代金をいただき、それを『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』に寄付させていただきました。新聞記事はその時のものです。
皆さんは『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』をご存知ですか? こちらはタンチョウとその生息地を保護するために、日本野鳥の会が運営している施設です。
詳しくは後ほどご紹介するとして、その時に対応してくれたのが、右側に写っている原田 修さん。この施設のチーフレンジャーを務めている方なのですが、タンチョウについてとにかく熱く語ってくださったことが印象的で、ずっと頭から離れませんでした。
私は青森出身だから、初めて釧路に来た時はびっくりしたんだよなぁ…普通に鶴がいることに…
中でもよく覚えているのが「2月ごろになるとタンチョウの『求愛ダンス』が見られる」とおっしゃっていたこと!
鶴の求愛ダンスってどんなんなんだろう…
こーいう感じかなぁ…いずれにしても、求愛ダンス見てみたい!!!!!
なんてったって、私たち…
クレイン鳥取大通店なんで( ̄▽ ̄)
実はこの店舗名、私が名付け親だったりします。これは求愛ダンス見てみるしかない!
ということで『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』へ伺った時の様子を、前後半に分けてレポートさせていただきます!
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリはどこにある?
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリは鶴居村の中心地にあります。釧路方面から向かうと、中心部に入ったあたりで右側にセイコーマートがあり、その交差点を右に曲がってまっすぐ走ると「酪楽館」という施設が見えます。それを超えた先に見える、白い三角屋根の施設が鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリです。
この施設は大きく、給餌場とネイチャーセンターのふたつに分かれています。ネイチャーセンターは保全の拠点として利用されている場所です。この日はとにかく寒かったので、まずはネイチャーセンターへ!
寒かったでしょう! 遠いところからようこそ!
入ると同時に、明るい笑顔で迎えてくださったこの方が、日本野鳥の会の原田 修チーフレンジャーです。
ご無沙汰しております! 今日はタンチョウの『求愛ダンス』を見たくて伺いました。
今まさに時期ですからね。必ず見られるわけではありませんが、今日見て帰れるといいですね。 早速ですが、給餌場にはもう100羽近く集まってますよ。
ネイチャーセンターと給餌場は隣接しているので、こんな感じでその様子を施設内から見ることができます。
現在13時ですが、14時給餌の時間になるともっと増えますよ。『求愛ダンス』はそのタイミングで起きやすいので、もう少しお待ち下さいね。
『求愛ダンス』が見やすいポイントとかってあるんですか?
給餌の時間はいろいろなところでやっていますが、群れの端の方で見られることが多いですね。
施設には双眼鏡や望遠鏡もあるので、寒いのが苦手な方や、暖を取りたい方はここからでもしっかり見えますよ!
ここではタンチョウにデントコーンというエサを与えています。
デントコーンは飼料用として栽培されているとうもろこしのこと。実は収穫時期である秋になると、タンチョウがデントコーンを求めて畑に飛来してくるんだそうです。
確かに私も秋ごろになると、畑にいるタンチョウを見たことがあります! ちゃんと理由があったんですね。
夫婦で子育て♡ 悲しい子別れも
今回は専門家にお話を伺えるということで、タンチョウの質問をたくさん考えてきました。給餌まで時間があるようなので、原田さんに直撃してみます!
まずは…タンチョウって、いつも複数羽でいるイメージがあります。何か理由があるんですか?
阿寒に向かう途中とかにもよくタンチョウを見かけますが、2羽か3羽でいることが多いですよね。あれってなぜなんでしょう?
おそらく夫婦と子どもではないかと思います。
タンチョウは卵を一度に2個しか産みません。少なく産んで、夫婦で1年間大切に育てるんです。
そうなんですか! 知らなかった…。
でも1年後には子別れをします。
子別れ?
いわゆる独り立ちですね。きちんと子別れをするために、親は子どもを威嚇したりするんですよ。
えーーー! 素敵なお話だけど…とても切ない…泣
私も子どもがいるので、とても胸が苦しくなりましたが、子別れしないと近親相姦の恐れもあるそうです。野生ってそういうことなんだ…と思いました。
『鶴は千年』って本当?
続いて、長年気になっていたあの謎について聞いてみました。
タンチョウの寿命ってどれくらいなんですか?
1,000年です。
えーーー!! あれって本当だったんですか!? \(゜ロ\)(/ロ゜)/
嘘です。
…なんだー! (真面目な顔して言うから一瞬信じちゃったよ…)
中国には親子3代に渡って家の庭先に同じツルが飛んできた、なんて逸話も残っているそうですが、それはおそらく勘違いではないかとのこと。
脚につけた標識の番号を読むと、生まれた年と生まれた場所、またオスかメスかがわかるそうです。もちろん、生活に支障はないとのこと。
実は鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリでは、標識のついたタンチョウがいつどこで生まれたのか、何歳なのかといった資料を閲覧することができます。
原田さんが持っているこちらの本、左側のページに番号と写真が載っていますよね。例えば左上のタンチョウは1990年に風連湖で生まれた個体で、『T09』というタグを付けている、ということがわかります。
1990年生まれってことは…2019年で29歳!!うちの柗本より年上! 野生ってもっと短命なのかなと思ったのですが、長く生きるんですね。
絶滅の危機から奇跡の復活! そのワケは?
『求愛ダンス』が見られるかもしれない給餌まで、まだもう少し時間があったので、今度は2階で保護活動についてのスライドを拝見しました。
現在国内のタンチョウは主に道東に生息していますが、昔は本州まで渡っていました。実は江戸時代、タンチョウは徳川幕府への献上品として扱われるほど貴重なもので、一般農民がタンチョウを捕まえて、家族全員死罪になった、なんて怖い記録も残っているんだとか。
しかし徳川幕府が倒れるとともに、こうした規制はなくなり、タンチョウは乱獲されるようになります。さらに湿原の乱開発とともに、タンチョウはその姿を消した…と考えられていました。
しかし1924年、なんと、ここ釧路湿原で十数羽のタンチョウが発見されたんです! その後、阿寒や鶴居の地元住民の努力により給餌が成功。1952年には特別天然記念物に指定され、国や自治体による保護施策が行われるようになりました。
こうしてタンチョウは、なんと1,800羽ほどに回復。世界中に生息するタンチョウの数は3,200~3,300羽ということですから、半数近くがこの釧路の地にいるということになります。タンチョウにこんな歴史があったとは思いもしませんでした。
ちなみにタンチョウの一年をまとめるとこんな感じです。
実は今も、タンチョウは自然採食だけでは越冬が難しいとされています。タンチョウが無事越冬するために、この給餌場が必要なんですね。
他にも道東の給餌場は鶴見台、阿寒国際ツルセンター、そしてここの3か所に設置されています。給餌は11月から3月の間に行われていますので、ぜひご覧になってみては?
施設名の『伊藤』の由来
そういえば、この施設の名前に付いている『鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ』の「伊藤」って、どなたのことなんでしょう?
実は「伊藤」というのは、もともとこの土地を保有していた故・伊藤 良孝さんを冠したもの。伊藤さんは1966年からこの場所で30年給餌を行っていた人物です。
タンチョウを保護したいという日本野鳥の会の申し出に対して「同じ思いなら」と、この土地をご提供くださったのだそう。その後全国に募金を募り、1987年にここ鶴居・伊藤サンクチュアリが設立されました。
ちなみに鶴居村の「鶴居」は、タンチョウの生息・繁殖地であり、鶴が居るということが由来なのだそうです。伊藤さんの英断がなければ、村の名前も変わっていた…かも?
いよいよタンチョウの『求愛ダンス』が見られる…かも!?
そうこうしているうちに、いよいよ『求愛ダンス』が見られるかもしれない給餌の時間が迫ってきました! カメラマンもずいぶん増えてきましたよ。
果たして無事にカメラに収めることができるのか!? 後半でぜひお確かめください。
【公益財団法人 日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ】
住所:北海道阿寒郡鶴居村字中雪裡南
TEL:0154−64−2620
開館時間:9:00〜16:30
定休日:毎週火・水曜(祝日の場合は開館)、12月26日~12月30日、4月1日~9月30日
※定休日でも給餌場の観察および撮影は可能
入館料:無料
HP:http://park15.wakwak.com/~tancho/index.html
Twitter:https://twitter.com/tancho_sanc