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本別町出身・斎藤英和さんがスペシャルティ・コーヒー専門店『HIDE COFFEE BEANS STORE』を東京に開くまでのお話・後編

2019.7.30

 

東雲でスペシャルティ・コーヒー専門店『HIDE COFFEE BEANS STORE』を経営している本別(ほんべつ)町出身の斎藤英和さん。後半では、お店で扱っている豆の紹介、自宅での上手な豆の保存方法、また、地元北海道での話を聞かせていただきました!
【取材協力】東京・東雲「HIDE COFFEE BEANS STORE」

前編はこちらから

お店で扱っている豆の特徴


ーーお店にはたくさんのコーヒー豆がありますが、それぞれ紹介してください。

好みですけれど、エチオピア・ケニアとかのアフリカ系は果実感の良い酸味が特徴的です。僕は酸味があるものが好きで、エチオピア、ケニアは必ず置いておきたいラインナップです。あとはガテマラとか中米のものはバランスがいい。果実感もあるんですが、すごくバランスのいい味が特徴です。

ブラジルは南米なので、酸味というよりはナッツやカカオの香りがして酸味が少ないのが特徴ですね。他ではインドネシアなどのアジア圏の豆も置いています。アジア圏の豆は普通、土っぽいというか高級路線ではなくて低級路線でインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料とする場合が多いんですが、うちが扱っているのはすごく良い豆なので別格です。

ーー豆にも流行りってあるんでしょうか?

まず、コーヒーには《浅煎り》、《中煎り》、《深煎り》の3段階があるんですが、うちの店の特徴は中煎りがメインで、あとの3分の1は深煎りなんです。浅煎りはやっていません。うちに来るお客さんは酸味が強烈な浅煎りではなくて、ほどよい酸味とかバランスのよい中煎りとか、少し苦味があるしっかりとした深煎りとかそういう味が好きなお客さんが中心です。そこにもそれぞれのお店のカラーがあります。コーヒー業界全体としては何年か前に浅煎りが流行って、酸味をすごく強調したコーヒーが多くなりました。

と、ここでお店で販売している豆の説明も兼ねて、斎藤さんがコーヒーを淹れてくれました!

まずはエチオピアの『ジンマ』。

中煎りでフルーティな酸味のある味が特徴。飲むと酸っぱさを感じますが、嫌な酸っぱさではなく、まさにフルーツを感じる味わいです!

次は『HIDE COFFEE BEANS STORE』オリジナルの『CANAL BLEND』。深煎りで酸味が少ないコーヒー。《CANAL》は運河という意味でお店の場所にちなんでつけたそうです。

しっかりした濃い目の味で、牛乳を淹れてカフェオレにしても美味しそう。

斎藤さん:『CANAL BLEND』はうちのお店の定番の味です。『HIDE BLEND』も人気ですが、深煎りが好きな人には『CANAL BLEND』をオススメしています。あとお店に卸す場合も『CANAL BLEND』が多いですね。ミルクとの相性もいいですし、そのままエスプレッソやアイスコーヒーとしても使えます。なので、あまり種類が置けない小さなお店だと『CANAL BLEND』だけを置いています。もちろん『HIDE BLEND』も美味しいですよ!

最後に『VALENTIND BLEND』を飲まさせていただきました!

『CANAL BLEND』と似たような豆の配合にしてあるそうですが、インドネシアという豆をプラスしているそうで、『CANAL BLEND』よりフルーツ感のある香りと味がします。

ーー購入した豆を自宅で美味しく飲む方法を教えてもらえますか?

そうですね、豆で買った場合は、2週間程度は常温で保存してください。1週間くらい常温に置くと焙煎したての時よりも美味しさが増すんです。その後は、ジップロックなどに入れて冷凍すれば2カ月くらいは味が落ちません。

とにかくコーヒー豆を空気に触れないようにするのが大切ですね。粉で買った場合は、その日から味が落ちていくので、すぐ冷凍してください。焙煎した豆には水分がほぼないので冷凍後すぐに使っても大丈夫です。それと、自宅で挽く場合は、なるべくよいミキサーを使った方が豆のばらつきがでなくて済みます。

汽車に乗って登校した、池田町の思い出

コーヒーをいただきながら、ここで斎藤さんに故郷について聞いてみることに。

ーーご実家は自営業をされているのですか?

いえ、実家は両親ともに教員でした。今は帯広から1時間くらいのところに実家がありますね。

本別町で生まれた斎藤さんは、その後、池田町へ引っ越し、帯広の高校へ進学。

ーー学生時代を過ごした北海道の思い出を聞かせてください。

中学生の頃はスピードスケートばかりしていましたね。十勝はスケートが盛んでしたから、十勝でスケートが一番だと全国でも一番みたいなものでしたからね。私は出世しませんでしたけれど、同級生は日本1位になってますよ。高校生からは帯広の三条高校に通ったんですが、本別町、池田町からしたらとても都会に感じましたね。毎日汽車に乗って池田町から帯広まで30~40分かけて通学したのがいい思い出ですね。

ーー食べ物についてはどうですか?

大学で東京へ出てきてからはずっと東京住まいでしたけれど、それから何年もして北海道に帰省するようになって、「北海道のものって美味しいんだな」ってその時に再認識しましたね。池田町に「再来」さんという美味しいラーメン屋があるんですが、今でも帰ると帯広から池田町まで食べに行きますよ。そこは学割があって安く食べられたんですよね。そこの味噌ラーメンが絶品です。だから毎年帰省をする度に「こんな美味しいお店あったんだ」って発見があります。

ーー帯広にいずれ帰る予定はありますか?

少しはありますね。お店をやる時、帯広か東京、どちらで開こうか悩みましたが、帯広だとまだマーケット調査が不十分だと思いました。だから、まずはこっちで実力をつけてから考えようということにしたんです。こういう商売は会社員と違ってどこでもできるから、なにかあれば帰りたいという気持ちもあります。でも、妻が東京の人ですし、そこは揉めるんですよ(笑)。やっぱり、東京の人が極寒の地で暮らすのはきついですよね。

ーー話は変わりますが、好きだったコーヒーを仕事にしてみて、いかがですか?

自分だけの楽しみではなく、お客さんに知ってもらって、違う見方が広がりました。「こんなコーヒー今まで飲んだことない」「他のお店のコーヒーが飲めなくなった」と言ってもらえるとやりがい、励みになります。美味しいコーヒーを地域の人に知ってもらいたいと、ここで始めたので。

ーーやはり、脱サラしてよかったですか?

精神的にはとても楽ですね。でも今は金銭的、肉体的ストレスはあるかなと思います(笑)。休みは毎週水曜日と第二・第四木曜日。でも週に1回のお休みでもお店のことを考えて買い出しに行ったり、他のお店に行ったりして、そんなにゆっくりは休めていませんね。

ーー最後に道東の方にメッセージをお願いします!

東京に来てみて最初は恐かったですが、来てみてよかったなと思います。何事も経験してみないとわからないし、東京に来たいと思うなら来て頑張った方がいいじゃないのでしょうか。やっぱり道東でずっと暮らすのと、こちらに来るのとでは情報量や経験が全く変わると思うので、マイナスにはならないと思いますね。何かあれば私であれば相談に乗りますよ!

脱サラからコーヒー専門店を開業した齋藤さん。そんな齋藤さんのお店『HIDE COFFEE BEANS STORE』では、豆の購入や淹れたてのコーヒーが飲めるほか、豆の卸しもやっています。美味しいコーヒーを出したいお店の方は一度『HIDE COFFEE BEANS STORE』の豆を試してみてはいかがでしょうか! また、通販もやっているそうなので、東雲に行きづらいという方はお店のサイトをチェックしてみてください。

齋藤さん、ありがとうございました!!



Profile

斎藤英和(さいとう・ひでかず)
1968年生まれ、北海道中川郡本別町出身。
44歳で脱サラ、東雲でスペシャルティ・コーヒー専門店『HIDE COFFEE BEANS STORE』を開業。豆は個人での購入はもちろん、店舗への卸しも行なっている。

Officialウェブサイト「HIDE COFFEE BEANS STORE

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