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走るのは一人、支えるのはチーム。Yaris Cupを支える『GR Garage音更』の舞台裏

2026.10.29

午前7時、ひやりとした朝の空気が残る十勝スピードウェイ。
ピットでは、すでにレースに向けた準備が始まっていました。

タイヤを外し、空気圧を確認する。
車体の下をのぞき込み、走行に向けて一台一台を整えていく。
和やかな会話を挟みつつ、手元には真剣なまなざしを向けているスタッフの姿。

数時間後、車は多くの観客が見守るコースを走ります。
レースはスタートの瞬間に始まるわけではない。
ドライバーが車に乗り込むずっと前から、準備は始まっているんです。

2026年9月27日、「TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup 2026 北海道シリーズ」の第4戦。チームとして参戦したGR garage音更は昨年に引き続き2度目の挑戦です。

華やかなレースの裏側で、何が起きているのか。緊張感が走る現場で、マシンと向き合うGR Garage音更のスタッフの姿を追いました。

同じヤリスで競うワンメイクレース『Yaris Cup』

Yaris Cupは同じ車種・基本仕様の車両で競う「ワンメイクレース」。2000年に始まった「Vitz Race」の流れを引き継ぎ、2021年にスタート。今年は北海道・東北・関東・関西・九州の5シリーズに分かれて行われています。

ワンメイクレースでは車そのものの性能差が大きく出にくいぶん、ドライバーの技量はもちろん、その日の路面・気温に合わせた細かな調整、チームの準備が結果を左右します。

北海道シリーズの舞台は、更別村にある十勝スピードウェイ。5月24日に第1・第2戦、8月9日に第3戦が行われ、取材日の9月27日は北海道シリーズの勝敗を決する最終戦でした。

今シーズン、GR Garage音更がサポートしているのは、元スピートスケートの金メダリスト清水宏保さんと橋本優選手の2台。橋本選手は1位、清水さんは8位という順位で最終戦を迎え、ここまで積み重ねてきたシーズンの結果が決まる、重要な一戦を迎えていました。

いよいよ決勝へ。12周のレースがスタート

決勝のスタート位置は、朝に行った公式予選での結果をもとに決められます。橋本選手は前から4番目、清水さんの位置は6番目です。

決勝の時間が迫る午前11時すぎ、各車両は決勝のスタート位置「スターティンググリッド」へ。先ほどまで各ピットに収まっていたヤリスが一列に並ぶと、サーキットにはどことなく緊張と高揚感が漂います。

GR Garage音更のメンバーも清水さん、橋本選手のもとへ集いました。車両の周りには関係者や応援に訪れた人たちが集まり、運転席に座るドライバーへエールを送ります。

レースが始まれば、ハンドルを握るのはドライバーだけ。それでも、チームは最後の最後まで会話を交わし、ドライバーとこぶしを合わせにいきます。

これまで共に戦ってきた相手への感謝、厚い信頼。スタート直前のグリッドには、“チーム”で取り組んできた時間の重みがありました。


午前11時25分、決勝レースがスタート。一斉に走り出したヤリスが十勝スピードウェイを駆け抜け、前後の車との位置関係を読みながら順位を争います。

ワンメイクレースだからこそ、ドライバーの経験や技量が大きな差を生みます。コーナーへ進入するたびに車間が縮まり、前を狙う車、後ろから追い上げる車。一瞬の油断も許さない駆け引きの連続です。

12周を走り終え、2026年の北海道シリーズは全日程を終了。GR Garage音更がサポートした橋本優選手はシリーズ2位、清水宏保さんはシリーズ9位という結果でシーズンを終えました。

走りを支えるピットでの仕事

決勝レースを終え、サーキットが少しずつ落ち着きを取り戻したころ。GR Garage音更のメカニック・野坂さんに、レースを支える仕事について話を聞きました。

野坂さんが担当していたのは、車両のメンテナンス。タイヤ交換や空気圧の調整、タイヤ温度の確認、前日にはエンジンオイルやミッションオイルの交換も行っていたそう。

なかでも重要になるのが、タイヤと空気圧の調整です。

タイヤの状態は路面温度や気温にも左右されるため、その日の条件を見ながら調整します。

また、ドライバーが「走りやすい」と感じる状態を大切にしながら、実際にタイムが出ているかをデータでも確認。感覚と数値の両方を見ながら仕上げていくそうです。

周回を重ねるほど、タイヤの状態は変化していきます。だからこそ、走り始めからできるだけ違和感なく乗れる状態をつくることが、その後の走りにもつながります。

野坂さん

ドライバーの方がストレスを感じない車両を作ることを意識しています

走行データによる「数値」と、ドライバーが実際に感じる「感覚」。そのどちらも大事にしながら車両を仕上げていくのだと言います。

メカニックとして活かせる知識や技術で、ドライバーに確認しなくてもできることは先回りして行う。朝、ピットで見た一つひとつの作業は、すべてコース上の走りにつながっていました。

レース経験が普段の整備にも活かせる

野坂さんが普段担当しているのは、車の整備や点検、そしてお客様の車のカスタマイズです。一見すると、レースでの仕事とは別物のようにも見えます。

けれど野坂さんは、「やっていることは、そんなに変わらないかなと思います」と話します。

普段の仕事でも、お客様が感じている疑問や違和感を聞き取り、点検では実際に車を操作しながら状態を確認します。レースでも、ドライバーが感じたことを聞き、その感覚と車両の状態を照らし合わせながら調整していく部分は変わりません。

さらに、そこで得た経験は、日々のお客様対応にも生かせるといいます。

 

野坂さん

冬タイヤとか夏タイヤとしての性能の違いとか、そういうものに関しても、お客様に的確にアドバイスできるのかなと思います。

サーキットで得た知識や感覚が、店舗に戻り、普段の整備やお客様との会話につながっているそうです。そんな野坂さんですが、最初からモータースポーツやカスタマイズに詳しかったわけではありません。

 

野坂さん

GR Garage音更への配属を聞いたときは、戸惑う気持ちもありました。ただ、会社で資格も取らせてもらっていましたし、普段の整備で身につけてきた知識や技術は、ここでも発揮できるのかなと思っていました。

実際、GR Garage音更を訪れるお客様からは「レースではどうなの?」と尋ねられることも。野坂さん自身も、レース活動を通して仕事の幅を広げていることが伝わってきます。

クルマを販売する会社がなぜレースに挑むのか



今回マネージャーとしてチームを支えたGR Garage音更の山口さんは、自らもサーキットを走っていた根っからの車好き。GR Garage音更に関わることになった当時について「車がとにかく大好きなので、多分それが決め手だったのかなと思います」と振り返ります。 そんな山口さんが、2シーズン目となるYaris Cup参戦を振り返って口にしたのは、チームの変化でした。

 

山口さん

昨年見えていた改善点に一つひとつ取り組み、今年はチームとして非常にまとまりが出てきたと思います。

結果だけではなく、会社にとって得るものも多いシーズンだったと話します。4戦を通して、「自分たちも成長しなければならない」「会社にどう貢献できているのか」を考えるシーズンになったそうです。

さらに山口さんは、レース参戦における意義を、サーキット場だけにとどまらずGR Garage音更やお客様へと広げます。

 

山口さん

GR garage音更やレースに興味を持ってくれる方をもっと増やしたいんです。また、レース活動を見て「こんな会社で働いてみたい」と思う人が増えたらうれしいですね

レースに出ること自体が目的なのではなく、その活動を通して、車が好きな方や会社に興味を持ってくれる人との新しいつながりを作りたい。GR Garage音更、そして車やレースへの「ファンづくり」が、山口さんの掲げる目標です。

クルマを販売する。整備する。カスタマイズする。その先にある「クルマを楽しむ時間」まで一緒につくっていくことも、GR Garage音更がレースに取り組む理由のひとつなのかもしれません。

レースと日常をつなぐ場所「GR Garage音更」

モータースポーツの車両やカスタムには、一般的なものより高い知識や専門性が必要になることがあります。サーキット場を有する十勝であっても、ニッチな需要に応えられる店舗はそう多くはありません。

レースやカスタムに関する相談をしたい。実際のモータースポーツ現場を知るスタッフに話を聞いてみたい。十勝でそのような方の拠点となっているのが、音更町の「LOOP OTOFUKE」内にあるGR Garage音更です。

ここでは車両の購入相談やカスタマイズ、メンテナンスなどに対応するだけでなく、モータースポーツやイベントを通して、クルマの楽しみ方そのものを広げることができます。

今回のレースでも、店舗のお客様が応援に来てくれたことを山口さんはうれしそうに話します。

 

山口さん

今後はお客様とレースとの距離をもっと縮めていきたいですね

速さを競うサーキット場は、結果だけの世界ではありませんでした。ドライバーやメカニックをはじめ、さまざまな役目を持つ人が力を合わせ、ひとつの目標を目指しています。そしてそれは、どこか遠い世界の出来事ではなく、私たちの身近な場所で起こっているんです。

  

山口さん

とにかく一度、足を運んでみてください。店舗も、実際のレースも。足を運んでいただけると、多分これまでとは変わった見え方になると思います。

レースが終わり、ピットが撤収へと向かうなか、山口さんは力強く話してくれました。サーキットと日常のカーライフをつなぐGR Garage音更の挑戦はこれからも続いていきます。

★次回はドライバーの清水宏保さんのインタビューを掲載します。ご期待ください!


GR Garage音更

音更町木野大通東14丁目2番地18
営業時間 9:00~17:30
TEL 0155−67−1286

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