こんにちは。DO-Life特派員マウラです。
今回はハンターが食肉処理施設を作ってしまった、と言うお話です。十勝って個人が芋づる式に様々な事業を展開していく、と言うパターンが多い土地だと最近気づきました(自分も含めて)。
事業の拡大や展開がただの勢いだけじゃなく合理的なものだと言うことを通して、十勝で生活する人たちの特色なんかをお伝えできればと思います!!
害獣とカテゴライズされているものに役割を。そして足寄町を訪れるきっかけに。小さな処理場の大きな意義。
今回のターゲットは十勝夕暮れコーラメンバーでもある儀間さん。
DO-Lifeで以前取材させていただいた「ぎまんち」の運営もされています。
儀間さんは趣味が高じてハンターになり、そのために2017年横浜から足寄町に移住。
なぜハンターだけにとどまらず、食肉処理施設を作ったんですか?
シカを一頭獲ると家庭用冷蔵庫がいっぱいになってしまって。廃棄することもしたくないので次の狩猟になかなか行けなくなります。
なので鹿肉をさばいて売れたらいいなあ、と単純な発想から始まりましたね(笑)。
施設の構想はずっと持っていたんですか?
いつかできたらいいなあ、とは思っていましたがお金のかかることなので、初期費用をかけないで作られた施設を何件か見て回ったり、と言う準備はしてました。でもそれでも数百万円かかると知って、「いずれは、、」と言う感じで考えていました。
たまたま立地が良くて改修もさほどしなくてもやれそうな物件と出会って、コロナのタイミングも重なって融資を受けやすい、とか補助金の枠が広がったりだとか、流れがあったので想像より早くスタートできた、と言う感じですね。
お店ではないので施設の外観は元のまま。
看板もそのままです(笑)。ラーメン屋さんと間違えてお客様が入ってきそう。
施設も専門業者ではなく自身で動画やサイトを見て得た知識を工務店さんに伝えて作ったそう。
見たことあるレール。
入り口で処理したお肉はこのレールをつたって左側の冷蔵庫に運ばれるそう。この日もお肉が冷やされていました。
施設内の塗装なども自身でされたのだとか。
2021年1月にスタートされた事業ですが現在の流通ってどんな感じなんですか?
ほとんどがレストランさんへの卸ですね。札幌、仙台、東京、大阪などのレストランに卸しています。
鹿肉って需要あるんですね。とは言え、扱いにくい鹿肉。品質が良くないとリピーターにはならないですよね?
そうなんです。評判はいいんですよ。
品質って土地の利が大きいんですか?それとも処理側で変わってくるんですか?
土地よりはやはり処理技術の方が影響が大きいと思います。自分なりに丁寧に処理しています。
食肉処理事業は成り立っている感じですか?
正直今は成り立ってはいないです。と言うのも取引先を増やすとか以前に自分が獲れるか獲れないか、と言う問題が大きくて。
現状でもたまに足りなくて注文があってもお待ちいただくこともあったりします。
ただ、コロナの影響で最近また飲食店さんも休業とかになり、今度はお肉をさばけるか、みたいな問題も出てきます。
飲食関連の事業の難しさですよね。在庫をしておかないと必要なときに届かなくなる。でも在庫過剰であれば余ってしまうこともある。飲食の流れってほんと、読みにくいですよね。その上今はコロナの影響も重なってくる。
万一にも余りそうな場合はどうするんですか?
通常はできるだけ冷凍せずにチルドの状態で流通していますが、余りそうな時は挽肉にして冷凍したり、今後はカレーなどの加工品も作っていこうと思っています。
鹿肉は赤身が多くて、加熱にコツが必要で硬くなってしまいやすいのですが、挽肉であればご家庭でも様々なお料理に使えて便利です。
鹿挽肉の事も知ってもらうために、月に一回飲食店の方にお願いしてイベントも開催していて、そこではレシピも提供しています。
5月25日にもイベント開催予定だそう。ただ、鹿肉イベントは超人気でいつも告知スタートから早々に満席に。6月以降も開催予定なので気になる方は「やせいのおにくや」face bookページをフォローしてみてください。
4月に開催された時のメニューがこちら↓
こりゃ人気だ(´-`).。oO
取材の日には個人のお客様が「ここで鹿肉販売してるんですか?」といらっしゃってました。
こちらで個人向けに販売することも可能なんですか?
お肉がある時は販売できますが、今はなかなか。。。
個人様でもフェイスブックページからお問い合わせいただければ対応できるのですが、やはりそもそもお肉がないと、と言う感じですね(笑)。
儀間さんはすごい好きなことを仕事にされたんですよね?
いえ。「嫌じゃなく続けられる」くらいのことだから仕事にできたんだと思います。「すごい好き!!」だったら仕事にはしていないと思います(笑)
わかります(笑)。私も今やってる全てのことは「嫌じゃなく続けられる」カテゴリーです。本当に好きなことは趣味で楽しんでます(笑)。
儀間さんは良くも悪くも、いつも肩の力が抜けていて「頑張ってます感」がないのですが、本質的に大事なことと言うのが勘でわかっていて結構合理的に物事を進めてる感じがします。本当は「食肉処理業」の許可なんてそう簡単に取得できるものじゃないんですよね。
そんな儀間さんに最後の質問。
今後の展望とか目標ってありますか?
もともと移住当初から自分たちの食べていく分くらい自分で稼いでみたい、と言う目標がありましたがまだまだそこまで稼げていないのが現状なのでまずはその目標を達成したいですね。
皆さんにお聞きしていますが、乗っている車はなんですか?
ダイハツのテリオスキッドに乗っています。小さいので山道で小回りが利くのが結構助かっています。
食肉処理施設ができたことによって、害獣とカテゴライズされているエゾシカの役割が少しでも増えればたくさんの人が幸福になると感じました。そして、シカ肉イベントは足寄のみならず帯広からもお客様がくるほど。人口7,000人強の足寄町へたくさんの人が足を運ぶきっかけにもなっています。
今はまだ個人様用なま肉の常時販売は難しそうですが、まずはイベントで気軽に鹿肉を食してみてはいかがでしょうか。
儀間さんが他にもお仕事を持っているため直接施設に行っても不在の場合があります。まずはフェイスブックページなどからお問い合わせください。
野生肉専門店やせいのおにくや
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ホームページ 野生肉専門店やせいのおにくやHP
住所 北海道足寄郡足寄町旭町4丁目