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あるジビエとの出会いが運命を変えた…エレゾ社佐々木章太さんの想いに迫る

2018.8.30

みなさんこんにちは!釧路トヨタ帯広店の神と麻野です。
今回のテーマは『そのビジネスなんで道東で始めたんですか?』地元十勝で起業された方に、その思いを伺うシリーズです。

今回はいわゆる「ジビエ」をはじめ、羊などの食肉を扱う「食肉料理人集団」株式会社エレゾ社の代表取締役 佐々木章太さんに起業のきっかけ、そして食に対する熱い想いを伺いました!

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エレゾ社とは?

2005年に佐々木さんが創業された、『食の一貫生産管理体制』を確立した企業です。一貫生産管理体制とは、狩猟や生産から加工、販売・提供まで一貫して自社で行う仕組みのこと。この体制を維持するために、社内には4つのブランド(部門)が設けられています。

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例えば「生産・狩猟部門」はその名の通り、自給自足ができるように設けられた、エレゾの基礎となる部門。一般的にジビエは、それぞれの土地にいらっしゃるハンターさんが狩猟し、処理施設などに持ち込むことがほとんどです。しかしエレゾ社で取り扱うジビエは、専属ハンターの方が狩ったものだけ。

専属ハンターはクオリティの高い、目利きのできるハンターが月齢や性別を理解し、そのうえで首・頭しが狙わす、外傷がない状態で2時間以内に豊頃町にあるラボラトリーへ搬入します。

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ほかにも需要の高い骨付き熟成肉を全国の会員レストランへ提供する枝肉・熟成流通部門、さまざまな技法で肉を再形成し、新たな加工製品へと仕立てるシャルキュトリ製造部門、紹介制レストランなどの自社レストランの運営を行うレストラン部門の計4ブランドがエレゾ社の軸となっています。

ところで「エレゾ」ってどんな意味があるのでしょう?お伺いしたところ、ご実家のレストランの「繪麗(えれ)」と北海道の古称である「蝦夷(エゾ)」を組み合わせ、初心を忘れず北海道を軸にと思いを込め「エレゾ社」という社名になったのだそうです。

ジビエに対する探求心が広がった…運命の肉との出会い

起業から13年で「やっと会社の軸となる4つの部門を確立できました」と語る佐々木さん。食との関わり方が多様化する中で、あえて「エレゾ社」という道を確立しようと考えた、その思いや起業までの経緯を伺いました。

佐々木さんは帯広市出身。実家がレストランということで、小さい頃から食に身近な環境で育ちました。その後、ご自身もシェフの道を選び、スターシェフの登竜門と言われているお店を始め、複数の店舗で修行を積んだそうです。

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この時佐々木さんは、ただ修行するのではなく、質を求めた上で、一般的に10年かかることを5年でやろうと思って修行に臨んでいたとのこと。修行後は北海道に戻り、修行に出るお兄さんの留守を預かる形で実家のレストランのシェフとなります。

その時に出会った、ある常連のハンターさんが佐々木さんの運命を大きく左右します。ハンターさんは「いのちから食べ物に変わるプロセスは経験がないだろう」と、実際に狩猟してきた鹿の屠体を店に持ってきて、さばき方を教えてくれたそうです。

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それが今まで食べたことがないくらい美味かったのだそう。あまりの美味しさに、最後に修行したお店の社長にも御礼として送ったところ、美味しいと大絶賛だったそうです。その社長から「勉強のためにもジビエを追及してみては」と言ってもらい、エレゾ社を起業。実家のレストランと二足の草鞋で始められました。

肉を食べた時の思いについて、佐々木さんは「ジビエに対する探求心が広がった」と語ってくれました。たしかにジビエというと、ちょっと生臭いイメージがありますよね。プロの佐々木さんをも唸らせたその肉の美味しさ…相当だったんでしょうね…。

家族みたい!エレゾ社の人々

そんなエレゾ社の拠点とも言える食肉総合ラボラトリーは、豊頃町大津にあります。市内からはちょっと離れていますよね?なぜ豊頃町だったのでしょうか?

佐々木さんに伺ったところ、海沿いや傾斜地が多く狩猟する環境がよかったためとのこと。このへんだと、エゾシカってどこにでも出てくるイメージがありますが、実は環境によって肉質が異なるそうです!知らなかった…。

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食肉総合ラボラトリーには13名のスタッフがおり、そのうちの8割は料理人で構成されています。またハンターも1人いらっしゃるとのこと。ちなみに、そのほかに高い技術を持つ会員ハンターを30人ほど抱えいらっしゃるそうです。

スタッフはいずれも生産からすべての部門に関わっており、どの業界からも評価される突き抜けた組織を目指しているそうです。また佐々木さんは、スタッフの人格を重視しているとのこと。今回の取材もそうですが、食に対してだけでなく、人に対しても真摯に接してくださる佐々木さんのお人柄が分かるエピソードにほっこりしました。

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ちなみに豊頃町のスタッフは、実は皆さん共同生活!大半が道外の方ということで、大津の旧保育園を豊頃町から借り、ホテルのように改装して暮らしているそうです。他社の取材ではラボラトリーよりもこちらが注目されることもあるのだとか。

周りになにもない環境ということで、お休みの日はみんなで遊びに行くことが多いそう。社外研修やカキまつりなどを楽しんでいらっしゃるそうです。仕事の枠を超えて、スタッフの方々の間には強い絆ができているんですね。

佐々木さんの思いとこれからのエレゾ社

佐々木さんはいつも目標を遠くに設定し、進み続けています。それは、身近な目標だとそこで満足してしまうからなのだそうです。そのため現状に満足したことはないとのこと。

今後はエレゾ社が何をやっているかを知ってもらい、応援してくれるファンを増やしたいそうです。また大津にオーベルジュ(宿泊できるレストラン)を作り、世界中からお客様が来てくださるような場所にしたいと、熱く語ってくださいました。

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お話を通して、佐々木さんのとても熱い気持ちが伝わってきた今回の取材。食材はもちろん、人格も一流を目指し、スタッフ全員が同じ目標を持って前進し続けている企業だと感じました。北海道十勝エレゾ社の世界的な活躍、みなさんもぜひ刮目ください!

【株式会社エレゾ社】
住所:北海道中川郡豊頃町大津125
電話番号:015-575-2211
http://elezo.com/

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