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『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』の新井 武士さんは今釧路で熱い想いを抱いて音楽を続けていた

2019.10.2

道東に由来するさまざまな方をご紹介する「道東人」シリーズ。今回は『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』としてかつて日本中を熱狂させたメンバーのひとりであり、2017年に釧路へ移住されたベーシストの新井 武士さんにインタビューさせていただきました。

場所は新井さんがライブ会場として使うこともある他、月に数回音楽講習会も開いている釧路市愛国の『麺CAFE ALL』。店長も交えて終始穏やかな雰囲気で取材を進めさせていただきました。

釧路市愛国の麺CAFE ALLで取材を受ける新井武士さん

記事の最後にはスペシャルメンバーによる11月のライブ情報も! ぜひチェックしてみてください。

実はギターとして加入するつもりだった!? ダウン・タウン・ブギウギ・バンドのエピソード

ーー ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの新井さんが釧路に住んでいるなんてびっくりしました。

ほんと? 俺のこと知ってる?

ーー 実は知り合いに聞いて「すごい人だよ! 」っていうのを教えてもらいました(笑)

ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとして活動してたのは1970年後半だからね。今もライブでは、皆さんに対するリスペクトも込めてあの時の曲もやらせてもらってるよ。

ーー そもそもダウン・タウン・ブギウギ・バンドに入られたきっかけは?

知り合いの紹介で、最初はギターで加入すると思ってたんだよね。でも蓋を開けてみたらベーシストだったからびっくりしたのを覚えてる。

元『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』のベーシスト新井 武志さん

ーー ダウン・タウン・ブギウギ・バンドとして活躍された時には全国を回られていましたね。

そうそう。でもあの時はとにかく過密スケジュールだったから、外に出て観光とかできる状況じゃなかった。移動してきてホテルで寝て、ライブしてまたホテルに戻ってシャワー浴びて…っていうことがほとんど。

でも喫茶店に行ったりすることはあったよ。当時、俺と宇崎竜童はお酒が飲めなかったから、二人で「飯食いに行きましょう」って言って、その帰りに宇崎さんが「あそこにいい雰囲気の喫茶店あったじゃん、そこ行こうよ」なんて言ってさ。でもそれくらいだったな。

でも移動するバスに揺られながら「ここいいなあ」とか思ってたよ。

自身が大切にしたい思いを胸に釧路へ

ーー 新井さんは東京のご出身だと伺いました。

そうだね、親が共働きだったから、おばあちゃんに良く世話してもらってたよ。あと、生まれた場所が下町だったっていうのもあるかもしれないけど、近所の人たちにも怒られたりしてさ。

でもそこで、人情とか嘘ついちゃいけないとか、人間として大切な部分を教えてもらったと思うんだ。俺は聖人君主じゃないけど、そこで教えられたことは最低限守ってきたつもりなんだよね。

だからこそ、東京の人口が増えるにつれて、街に流れるようになった「他人のことは知らん顔」っていう雰囲気が許せなかったんだよね。ぶつかっても謝らないとか、他人を思いやる心とかさ。みんな必死に生きてるんだと思うけど、俺はそういうのがやっぱり許せなくて、若い頃はそれを指摘してケンカみたいになったこともあったな。

ケンカっていうか、俺としては注意してるつもりで言ったことが火種になっちゃったりして。歳を重ねるごとに、それが押し付けなんじゃないかと思うようになって、自分でもセーブしなきゃと思ったんだけど、生まれ持った気質ってやっぱり変わらないから、人の少ないところに行こうと思ったのが、東京を出ようと思ったきっかけだったんだよね。

元『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』のベーシスト新井 武志さん

東京でライブするのは、今も好きだよ。というか、やっぱり音楽が好きなんだよね。でもライブが終わって東京の街に出ると、また嫌な気持ちになる。それが俺には我慢ならなかったんだ。

各地にいる最高の仲間とライブして気持ちよく終わりたい。それが東京でできないなら、他の場所に移ったほういいなと。せめてプライベートは他の場所で行きていきたいなって。なんかそういうことも含めて、いつか東京の街から出たいなと思ってたんだよ。

ーー 移住先を釧路に決めた理由は?

俺が持っていた思いと、いろいろなめぐり合わせが重なったからかな。

もともと小さい頃から田舎に憧れは持ってたんだよね。おじいちゃんが長野の田舎に住んでて、いい思い出がたくさんあって、いつかはこういうところに住みたいって思ってた。

あと、今も全国で音楽活動させてもらってるんだけど、そこで「東京から出たい」って話をしていたら、ありがたいことに色んな場所の人が「うちにこないか」って誘ってくれてたんだ。

釧路にも親身になって世話してくれる人がいてさ。正直どの場所も素敵だし、人もみんないい人ばっかりだから、最後まで本当に悩んだんだけど、釧路は雪が少ないから、年齢的にも除雪はつらいし、ここなら負担が少ないかなと思って決めたんだよね。

ーー 2016年に発売されたオリジナルアルバム『俺だけの歌の中で・・・』の1年後に移住されています。なにかひとつ区切りとなることがあったんですか?

新井武士さんのアルバム「俺だけの唄の中で・・・」

これはね、発売日の問題なんだよね(笑)本当はこのアルバムを発売した2016年頃には移住したいと思ってたんだ。でもアルバムの発売が決まって、プロモーションもあるのに「発売したんで北海道に移住します」じゃ申し訳ないと思って、1年はそっちに専念することにしたのよ。

個人的にも、移住したいって気持ちが高まってたときだから、本当にここしかないっていうタイミングで釧路に来れたのは良かったと思ってる。

ーー 新井さんは作詞や作曲も手がけられるんですよね。

そうだね、でも天から降りてくる、みたいなことはなくて、『スモーキン’ブギ』もそうだけど、俺のオリジナル曲は結構言葉遊びというか、韻を踏んでいたり、逆から歌ったら面白い歌になるとか、なんかひねくれてるんだよね。

あと社会に対する反感みたいな思いがつい出ちゃう。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの最後の方で、一度『桃栗三年武八年』ってソロアルバムを出したんだけど、その時はまさにそうだった。

それから35年経って、久しぶりにソロアルバムを出したわけだけど、やっぱり世の中に対して「このままでいいの? 」みたいな内容になってる。『東京弐千○○』とかはそうだよね。

だから俺はラブソングとかは書けないんだけど、最近は自分がいいなと思った曲を自分なりに「噛んで」みて、自分の思いで歌えば、もしかしたらわかってくれる人がいるんじゃないかなと思って歌ってるんだよね。

だからライブでも、オリジナルよりもカバー曲に自分の想いを乗せて歌うことが多いかな。

釧路のいいところは人と霧とスケール感

ーー 釧路に移り住んでみた感想はいかがでしたか?

人がみんな優しくていいよね。あと、街に霧がかかった感じも好きで、幣舞橋のぼやっとしたライトの光とかいいよね。

あと街のスケール感が丁度いいなって思ってる。釧路市全体は広いけど、中心部を移動するだけなら車ですぐに行けるでしょ。車で移動してもちゃんと時間が読めるんだよね。東京だとそうはいかない。

さらに雪が少ないから除雪も楽だし、釧路の街はすごく好きだよ。

といっても、実は全国を回ってることが多くて、東京にも2ヶ月に一回くらいは行ってるから、釧路に全然いない月もあるんだけどね(笑)

豪華メンバーで11月に北海道4ヶ所ライブを実施!

ーー 今も全国で精力的にライブ活動されているんですね。

そうだね、各地にバンドメンバーがいてくれて、その土地で気の合う仲間とライブさせてもらってます。

釧路にももちろんいるよ。ぴょんちゃん(今回取材先を提供してくれた『麺CAFE ALL』さんの店長さんの愛称)にもバンドメンバーとして参加してもらったことがあるしね。

元『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』のベーシスト新井 武志さんと『麺CAFE ALL』さんの店長 岩崎 慶吉さん

写真左が『麺CAFE ALL』さんの店長 岩崎 慶吉さん

あと元『キャロル』の内海 利勝さんと、『West Road Blues Band(ウエスト・ロード・ブルース・バンド』の松本照夫さん、あと宇崎竜童や原田芳雄とも共演してる長洲辰三さんの4人で『BACA BACCA(バカ バッカ)』ってバンドを組んでいて、今度北海道4ヶ所でライブツアーするんだよ。

ーー すごいメンバーですね…!

しかも全員ボーカルもするっていうね(笑)

自分で言うのも何だけど、正直、ここまで豪華なメンバーでやらせてもらえるのはほんとありがたいんだよね。みんな他に拠点がある中で、わざわざ北海道まで来てくれてさ。

ーー 釧路だけですか?

あと札幌と小樽と阿寒湖の4ヶ所。釧路は昼と夜の部があるよ。良かったら来てよ!

***

これだけのメンバーが北海道に集まってライブする機会はそうそうないはず! ファンの方はもちろん、久しぶりに新井さんの楽曲を聞きたい人や、今まで聞いたことがないけれど、今回の記事で興味を持たれた人など、興味のある方はぜひ足を運んでみてくださいね!

【BACA BACCA HOKKAIDO LIVE TOUR 喜怒哀楽】

■日程:2019年11月1日(金)〜11月4日(日)
■場所・開催時間・チケット・お問合せ先
1日 札幌COLONY(札幌市中央区南7条西4丁目2-6 LC拾壱番館B1F)
 開場 18:30 開始 19:00
 前売 4,500円、当日 5,000円(どちらも飲食別)
 予約受付:090-2842-1823(大山)
 ※パンフレットと記載が異なりますが、こちらが正しい問い合わせ先ですのでご注意ください。

2日 小樽ビール3Fホール(小樽市港町5−4)
 開場18:30 開始 19:30
 前売 4,000円、当日 4,500円(どちらも別途要オーダー)
 予約受付:090−6449−3891

3日 阿寒湖アイヌコタンオンネチセ(釧路市阿寒町阿寒湖温泉4−7−19)
 開場21:30 開始 22:00
 前売 4,000円、当日 4,500円(どちらも飲食持ち込み可)
 予約受付:阿寒アイヌ工芸協同組合 0154−67−2727

4日 Cafe Deja Vu(釧路市末広町7丁目2 金森ビルB1F)
 [昼の部]開場13:30 開始 14:00
 [夜の部]開場18:00 開始 18:30 ※満員御礼
 前売 4,000円、当日 4,500円(どちらも1ドリンク付き)
 予約受付:0154−25−6225

詳細情報は新井さんのHPでもご確認いただけます。

Profile
新井武士(あらい・たけし)
1951年7月19日生まれ・東京都出身。
1973年からロックバンド『ダウン・タウン・ブギウギ・バンド』のベーシストとして活躍。「スモーキン’ブギ」や「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」など数々のヒット作を生み出す。
1980年にソロアルバム「桃栗三年武八年」をリリース。一時は音楽活動を休止したものの、2003年から音楽活動を再開し、2016年には35年ぶりのソロアルバム「俺だけの唄のなかで・・・」を発売。
2017年に北海道釧路市へ移住。全国各地で精力的にライブ活動を行っている。
HP:新井武士 Official Web Site

【今回の取材場所】
麺CAFE ALL
住所:〒085-0057 北海道釧路市愛国西2丁目3−22
TEL:0154-95-0253
営業時間:12:00〜20:00
定休日:木曜
HP:https://alunno238.wixsite.com/noodles-cafe-all
Facebook:https://www.facebook.com/noodlescafeall/
※新井武士 音楽講習会:火曜日不定期に実施中! 詳しくはお問い合わせください。

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