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道東の冷涼な気候と大地が育んだウイスキーが誕生。『厚岸蒸溜所』で学ぶウイスキーの作り方・前編

2018.10.17

皆さんこんにちは、本社の石久保です。

突然ですが皆さん「お酒」は好きですか?
お酒といっても色々と種類がありますが、今回はウイスキーを造っている『厚岸蒸溜所』さんの工場を取材してきました!(ちなみに自分はお酒が弱いので、同僚の正田さんも一緒です)

厚岸町初の本格的なウイスキー蒸溜所

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厚岸町にある『厚岸蒸溜所』さんは2016年11月から本格的なウイスキーの製造を開始。蒸留所にはバスケットボールコート大の面積の蒸溜棟と、バレル(樽)を500個も収納できる貯蔵庫が2つあります。

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こちらが所長の立崎 勝幸さん。2015年まで東京の乳業メーカーに勤務していたそうで、その時に現在の厚岸蒸溜所の社長である樋田さんと出会ったそうです。
それではさっそく、スライドを使って厚岸蒸溜所について勉強していきましょう!!

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「アイラモルトのようなウイスキーを作りたい!」という樋田社長の思いから、アイラ島と環境が似ている厚岸町が選ばれたそうです。ちなみにこの『アイラモルト』とは、スコットランドにあるアイラ島で作られたウイスキーのことで「磯っぽい匂い」や「煙くさい感じ」が特徴的な品種です。

アイラモルトのこだわりは大きく3つ。

①仕込水 
②よい熟成環境→冷涼、湿潤な気候(できれば潮をかぶるような海の近くの場所)
③牡蠣が獲れる場所

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以上が必要とのこと。
ここから厚岸蒸留所のこだわりポイントです。

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①仕込水について
水はピート(泥炭)層を通っているものを使用。道内では、釧路、石狩、サロベツにこの層があり、厚岸町にはホマカイ川というピート層を通過した茶色く冷たい澄んだ水が流れていて、アイラ島の仕込水とよく似ているそうです。

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②よい熟成環境について
アイラモルトを熟成させるには、気温が低く高湿度で清澄な環境が望ましいそうです。
アイラ島と厚岸町を比較すると厚岸町の寒暖差こそ大きいものの、風土が似ていることがわかります。また、厚岸町は海霧が発生する地域で、海霧は厚岸湾から蒸溜所の方向へと流れます。この海霧は「潮のかおりがする」といわれていて、②にある「潮をかぶるような海の近く」という条件にもぴったり。

③牡蠣が獲れる場所
アイラ島は牡蠣が昔から獲れられていた場所。道内では主に厚岸・寿都・サロマ湖がそれにあたりますので、この条件も満たしています。

以上の3点から、厚岸周辺は《日本のアイラ島》と呼べるほど最適な場所であることがわかります!

製造工場へGO!

ここからはいよいよ工場見学です。

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まずは見学用のつなぎへ着替えます。なんだか給食当番を思い出しますね。
ウイスキーの製造工程は大きく分けて、
①原料→②粉砕→③糖化→④醗酵→⑤蒸溜→⑥樽詰→⑦熟成
という7つの項目になります。では、それぞれの工程を細かくみてゆきましょう!

①原料
原料は麦芽・水・酵母の3つ。麦芽(モルティング、製麦とも呼ぶ)はまず大麦を水に浸して発芽させ、その後は乾燥させます。この乾燥させる工程でピートを焚いて乾燥させたものを「ピーテッド」、ピートを焚かずに乾燥さたものを「ノンピート」と呼びます。

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実際に麦芽を見せていただきました。現在、厚岸蒸溜所では輸入したものを使用しているそうです。
立崎所長「麦芽はそのままでも食べることができますので食べてみてください」
石久保「えっ!? 食べられるんですか?」

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食べられると聞いて勢いよく食べてみましたが、麦芽って甘いんですね。

②粉砕(ミリング)
麦芽を粉砕機で砕くことで、次の糖化の工程で麦芽のでんぷんが糖分になりやすい形態にします。厚岸蒸溜所さんには1時間あたりに1トンもの麦芽を粉砕できる機械があります。

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粉砕比率は粗挽き(ハスク):中挽き(グリッツ):細挽き(フラワー)を2:7:1の比率で行ないますが、これは清澄麦汁(透明度が高い麦汁)を作るためで、簡易浄水器の比率と同じということです。

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ⓒ広島県三原市水道部

簡易浄水器は小石の部分が2、炭とジャリの部分が7、砂の部分が1。この比率が挽いた麦芽とお湯を混ぜた時に比重の差で図のようになり、最後に下からお湯を抜くと「キレイな麦汁」のでき上がり。

③糖化
麦芽中にあるでんぷんを酵素で糖分にする工程のこと。ここで麦芽とお湯を混ぜた麦汁を作るのですが、お湯6,000リットルに対して麦汁はおよそ5,000リットルほどとれるそうです。

立崎所長「実際の麦汁がこちらです」

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すごい! なんだかこれだけでもお酒みたいに見える!(気がする)

石久保「これも飲めるんですか?」
立崎所長「飲めますよ。アルコールは入っていないのでぜひ飲んでみてください」

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石久保・正田「甘い!!!!」

石久保「さっきの麦芽より甘くなってます!!」
立崎所長「そうなんです。これぐらいまで甘くしないと美味しいお酒にならないんですよ」

ここでウイスキーの製造工程は残りおよそ半分。後編では発酵から熟成の工程をお見せして、国産モルトウイスキーのできるところまでを紹介したいと思います。



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【堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所】
住所:北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109-2
定休日:不定期
工場見学の申込み:「厚岸道の駅 コンキリエ
Facebook:https://www.facebook.com/akkeshi.distillery/

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