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美味しさを研究しつくした町の豆腐屋さん@まめけん

2023.12.26

大豆と言えばいろいろな食材に加工できる優れもの。
その生産量は北海道が日本一。十勝管内でも数多くの農家さんが生産しており、豆腐や納豆など様々な加工品が作られています。

上士幌町では2022年に「まめけん」という豆腐屋さんがオープンしました。住宅街の一角にある店舗で販売している豆腐は、2023年の豆腐品評会でも予選大会を勝ち抜き全国大会に出場するほどの美味しさ。今では町内のみならず全国にファンがいます。

今回はまめけんを経営する中村哲郎(なかむらてつろう)さんにお話をお聞きしました。

 

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中津
本日はよろしくお願いします!中村さんが豆腐屋さんを始めたきっかけを聞かせていただけますか?
 中村さん
元々食べ物としても好きだったんだけど、豆腐の不思議さも惹かれた理由だね。畑で取れる大豆を粉々にして、海から取れるにがりを合わせることで出来るんだけど、それって一体どういうことなんだろう?って疑問に思ったんだ。
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中津
確かに、他の食品にはなかなかない製造工程ですよね。
中村さん

この工程があまりにも大変すぎて、昔は5〜6万件あった豆腐屋さんが、2020年ごろには5000件になったの。それなのにスーパーではかなり安く売ってるでしょ。もちろんそういう安いものもあっていいんだけど、こだわった豆腐もあっていいんじゃないかなって思ったことも大きいな。

中村さん

豆腐を作るようになった今だからわかったこともあるんだけど、 作り方によって味が変わってくるんだ。100人いたら100通りできる。その奥深さに魅了されて、今ではいろいろと研究をしているよ。

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中津

豆腐って見た目こそシンプルな食品ですが、ぱっと見じゃわからないこだわりがたくさんあるんですね。

中村さん

本当は最初はおからの出ない豆腐を作ろうと思ったんだ。豆腐って作る時にどうしてもたくさんおからが出てしまうんだけど、それがもったいないなと思って。ただ、それがあまり上手くいかなくて今の豆腐に行き着いたんだけどね。だから、まだまだ豆腐については研究途中かな。

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中津

なるほど。豆腐に向き合っている中村さんは、「料理人」というよりも「研究者」という方が近いイメージなのかもしれないですね。

中村さん

そうそう。僕はそっちなんだよね。だから設立した会社の名前も「Beans Labo. PWD㈱」だし、そこからひっぱってきてお店の名前も「まめけん」にしたんだよね。

豆にこだわり抜き、3年かけて完成した豆腐

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中津
現在販売している豆腐についてのこだわりを教えてください!
中村さん
水やにがり選び、大豆をすりつぶす度合い、煮方…いろいろあるけれど、使っている豆には特にこだわっているよ。最初は町内にこだわってたというより美味しいところの豆で作ろうと思ったんだけど、結局ここの地元のお豆が美味しいことに気づいたんだ。
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中津
上士幌産のものが何よりも美味しいなんて、地元の農家さんも嬉しいでしょうね。ちなみに使っている大豆の品種はなんですか?
中村さん
「ハヤヒカリ」っていう品種だよ。本来は味噌用で、豆腐は向かないって言われている豆だったんだ。
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中津
向かないというのはどういう理由なのでしょうか?
中村さん

タンパク質が少なくて、固まりづらいって言われたんだ。それをどう豆腐にするか、3年くらいは遊びながらのつもりで試行錯誤して、やっと販売できるものが完成したんだよね。

まめけんの商品は町内の食品加工センターにて製造されています。(中村さんより写真提供)

 

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中津

向いてない大豆って言われたのにも関わらず豆腐を作って、さらに北海道の代表として選ばれて全国の大会に行ってきたのが本当にすごいですよね。向いてないと言われつつもめげずにその大豆にこだわったのはどうしてですか?

中村さん

やっぱりこの豆は美味しかったんだよね。豆腐って普通に作ってもまあまあ美味しくはなるんだけど、究極的なことを突き詰めたらより美味しくなるんじゃないかなと思ってね。

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中津

「究極の美味しい豆腐」ですね!ちなみにどんな食べ方がオススメなのでしょうか?

中村さん

僕も色々試してみてね。冷ややっこは普通に美味しいんだけど、湯豆腐がまたいいんだ。食べる前に30秒ぐらい電子レンジで温めると、ちょっと食感が変わるんだよ。

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中津

それは両方とも試したくなりますね!わたしは冷奴でいただきましたが、豆腐の甘みがすごくて何もかけずに食べても美味しいのにびっくりしました!

「できること」から環境問題を考える

中村さんの豆腐は味についてこだわることはもちろん、環境問題へどうアプローチしていくかも試行錯誤しているそうです。その行動の背景をお聞きしました。

 

中村さん
豆腐ってスーパーに行ったら全部プラスチックの容器に入ってるじゃない。だから、買えば買うほどプラスチックごみが出るなと思って。
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中津

確かに、どうしてもゴミが出る仕組みになってる…!

中村さん

そうそう。だから僕は専用のケースでの受け渡しをしているんだ。最近は他の豆腐屋さんでも「ちゃんと廃棄ができる容器を使おう」という動きも出てきてるんだよね。ただ、値段は高いんだけれど。

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中津

そういえば、昔の豆腐屋さんって自分の家からボウルなど容器を持って行って、直接入れてもらうっていうイメージもあります。

中村さん

今では衛生面的に難しいのかもしれないね。だからプラスチック容器が主流になった。ただ、環境面としてはどうなんだっていう疑問があって、次に代わりに来る時に全部回収して再利用するっていうやり方ならできると思うんだ。

冷蔵庫の中には再利用できる容器に入った豆腐がずらり。

店舗では木綿豆腐だけではなく、おぼろ豆腐やおから、そして厚揚げも購入することができます。

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中津

今のお話を聞くまでスーパーでの売り方が当たり前だったので眼から鱗でした。全部を変えるのは難しいけれど、「できるところから始める」という積み重ねが大事ですね。

中村さん

そうだね。あと、食品ロスの問題にも関心があって。豆腐ってスーパーに山ほど並んでるよね。あれって全部売り切れるのかなとも思う。

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中津

賞味期限も意外と長くないですもんね、豆腐って。

中村さん

だから僕は必要な分だけしか作らないようにしてるんだ。 お客さんからはスーパーにも置いてくれって言う声もいっぱいあるんだけど、あえて置かないようにしてる。

事前に予約された数を作り、工房で一つ一つ中村さんの手によって商品に値付けがされていきます。作業中、「予約していても、当日になると忘れるお客さんもいるんだよね」と笑う中村さん。そんなときには届けにいくこともあるそう。大量生産じゃないからこそ、お客さんとの血の通ったやりとりが生まれます。

いつかは豆腐を使った定食屋を

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中津

「まめけん」や豆腐に関わる事業を、これからどのようにしていく予定なのでしょうか?

中村さん

お豆腐中心の食堂をやってみたいと思ってるんだよね。前に町内のチャレンジショップで 試験的に豆腐料理を出すお店をやってみたんだけど、みんな美味しいって言ってくれたから今度は定食屋をやりたいんだ。

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中津

お豆腐の味噌汁、豆ご飯、豆腐ハンバーグなんて作っちゃえば、メニューが全部賄えますね!

中村さん

豆乳と片栗粉で豆乳餅なんていうデザートも作れるよ。豆腐ってヘルシーだし、ダイエットメニューとかもできたらいいな。

町内のチャレンジショップで定食屋を開いたときの様子。(中村さんより写真提供)

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中津

ヴィーガンの人たちにとっても、そんな定食があったら嬉しいですね。あとは、北海道って大豆が取れるイメージはあるけれど、なかなかその料理を楽しめるお店って少ないのかも。そういうお店があっても観光客から喜ばれそうですね。

中村さん

そうそう、そういうのがやりたくってね。今の観光って外の人が憧れるようなものを作ろうっていう動きが多いけど、実際は町の中にすでにお宝はあるはずなんだ。みんなにとっては普通の食べ物だけど、外の人たちにとっては喜ばれることってあると思うんだ。だから、僕は定食屋を作ることが観光の一旦を担うことに繋がるとも考えているよ。

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中津

定食屋さんがもしオープンすれば、町の人も外の人も喜ぶものになりそう。いつかオープンしたときにはわたしも通わせていただきます!これからのまめけんもとっても楽しみです。本日はどうもありがとうございました!

まめけんの豆腐には、研究に研究を重ねた中村さんの思いがたくさん込められていました。十勝で一番美味しい豆腐をぜひみなさん味わってみてくださいね。ただし、購入する時には予約することをお忘れなく!


まめけん
住所 
北海道河東郡上士幌町6区
営業時間 18時〜19時
お問い合わせ先 090-1424-2875
Facebook まめけん かみしほろ
※営業日は月ごとに変わるため、Facebookに投稿されている予定をご確認ください。

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