道東をもっと楽しむ Do-Life

MENU

地域おこし協力隊の活動を掘る!!池田町林業推進員。

2021.4.23

こんにちは。DO-Life特派員マウラです。

 

マウラ

地域おこし協力隊って知ってはいるけど、どんな活動をしているのか。どうやって地域おこしをしているのか。
そんな知っていそうで全然知らないことを掘っていきたいと思います。
地域によって協力隊の役割もカラーも全く違っていて、その土地その土地の特色を同時に知る事もできそうな新企画。
楽しみです。

好きを仕事に。そんな新しい働き方を体現してくれる協力隊。

『地域おこし協力隊の活動を掘る!!』初回は池田町林業推進員のお二人。

2020年7月就任の川瀬さんと、

2020年8月就任の福家さん。

マウラ運営のブランド「ホワイトバーチ×イケダ」でもちょいちょいお世話になっているお二人。普段は山に入って間伐作業もしているそうですが実はその業務の実態はマウラにもよくわかっていません(笑)。

この日は仕掛けておいた白樺樹液の採取に行くとのことで、山の割と入り口付近での作業だったので同行させていただきました。

4リットル容器にたっぷり入っていました。ちなみに樹液は採取しても樹木への悪影響はない、と科学的に証明されていますのでご安心を。

ほんのり甘い味がします。うっすーい砂糖水、な感じ。

 

マウラ

樹液を採取してどうするんですか?

川瀬さん

以前採取したイタヤカエデの樹液は4月2日よりとかちむら内のマテナ珈琲さんでこの樹液を使ったコーヒーを販売してもらっています。
観光拠点であるとかちむらで池田町で採取した樹液コーヒーを飲んで池田町のことや池田町林業の取り組みを知ってもらうための入り口だと思っています。

3月上旬から4月上旬にしか採取できないイタエカエデの樹液。樹液コーヒーは樹液がなくなり次第終了だそう。 寒い十勝地方では限られた季節しか味わえない天然の甘味。こういった市場に出回らない山の食材を川瀬さんは「きこりグルメ」と名付けていて、樹液コーヒーはその第二弾。

 

マウラ

きこりグルメ気になりますね。第一弾はなんだったんですか?

川瀬さん

第一弾は、チョウセンゴヨウの松の実です! まつぼっくりから松の実を取り出して、焼いて食べました。

マウラ

ナッツ大好きです。今度食べさせてください。

川瀬さん

次は10月くらいですね。

マウラ

お二人は池田町の協力隊になる前は何をされていたんですか?

川瀬さん

前職は建設会社で不動産に関わる業務やマネジメント業務をやっていました。 それまでは賃貸関係の不動産会社で働いていました。

マウラ

なぜ不動産屋さんから林業の世界に?

川瀬さん

山菜とキノコが大好きで(笑)。市場に出回りにくいものが食べられるってすごい魅力じゃないですか。
どうやったら生活を成り立たせて好きなことを仕事にできるか、と考えた時に収益性を「好きなこと以外」で補おうと思ったんです。それが不動産でした。不動産運営で、ある程度の収入を得て好きな林業をやりたいと思っていたところに池田町の協力隊のことを知って応募しました。

マウラ

大規模林業の会社だとドップリ浸かって「好きなことじゃなくなる」と考えたんですね。

川瀬さん

はい。池田町は自伐型林業を進めていたのでちょうど良かったんです。

マウラ

ごめんなさい。自伐型林業ってどういうことですか?小学生でもわかるように教えてください。

川瀬さん

簡単に言うと「自分で伐る」ってことですね。

マウラ

そっか。林業の多くは効率や適性流通のための大規模型がメインなんですね。と言うことは自伐型って非効率だったり、デメリットがある、と言うことだと思うんですけど、そのあたりはどうやって事業として成り立たせていく考えなんですか?

川瀬さん

大規模林業の多くは人工林ですが私たちの棲み分けとしては自然林、つまり雑木林の保全を兼務しながらそこで伐った樹木を売っていきます。雑木林は自然の摂理で様々な樹木が生えていて、中には人には使いにくい木も育っています。だから自然林の樹木の多くは間伐されると、仕分ける手間がないバイオマス燃料やパルプ材になります。薪を使うにしても、使うことが森にとって良い結果になるようにしたいと考えています。 薪を使うのは、一見エネルギーとして消費しているだけにも見えますよね。ただ、僕らが間伐した薪を使うということは間接的に森を保全したことに繋がります。 薪を販売した代金を使って持続的に森を維持、管理し続けることができるためです。 木を使うことはきこりを通して社会を回すことに繋がる。 そんなきこりの顔が見える木、を目指したいです。
手の届く範囲で環境を守りながら経済的にも成り立つ、そんな林業のあり方を伝えていく。それが私たち「林業推進員」の役割だと思っています。

マウラ

福家さんはなぜ林業の世界へ?

福家さん

大学院の時の研究調査地が大樹町の歴舟川で2年ほど定期的に十勝に通い十勝の自然の魅力に惚れ込みました。いつか十勝に住みたいと思っていたんです。
卒業後は環境省でレンジャー業務補佐として国立公園のパトロールなどをしていました。森や木が好きなのでずっと林業にも興味があったんですけど、普通の林業系企業だと朝がものすごく早くて、子育てもあったので難しいな、と。
そんな時に池田町の協力隊募集を知って。しかも自分がやりたかった環境保全型の林業だったので絶対やりたい!!と思って応募して十勝に移住しました。

マウラ

福家さんは自伐型林業での収入面での成り立たせ方ってどのように考えていますか?

福家さん

林業オンリー、しかも自伐型で広葉樹相手だと経済的自立はなかなか難しいので合わせ技がとても大事だと考えています。
前職の経験を活かし森林環境教育的な活動を並行して進めたいと思っています。例えば道内外からの修学旅行などを受け入れての森林体験などを想定しています。そこから我々の活動、つまり持続可能な森づくりについて知ってもらうことで、薪や材などの販路の拡大につなげていきたいと思っています。
あとは木工作家さんなどに選ばれるような活動を協力隊の任期中に構築していきたいです。

マウラ

作家さんは超少量を必要としているし、どこで採れた木である、と言うような出どころやその木が木材になるまでに関わった人やストーリーなども作品の一部になるから、自伐型林業との親和性は高いですね。

川瀬さん

自伐型林業は小回りが利くのがメリットなんです。多少割高でもそんなにたくさんの量は必要ないとか、個性的な木を求めている人の需要は少なくないはずです。

マウラ

協力隊の任期は3年ですが、その間にやろうと思っていることはなんですか?

福家さん

林業に必要な技術の向上、そして薪や材などの販路開拓。 任期満了後に向けて川瀬さんともう一人の協力隊と3人で会社立ち上げの準備をしています。 町の業務としては「森の輪プロジェクト」と町有林の管理業務があります。

森の輪プロジェクト」とは各自治体内の木材で職人の手によって一つ一つ丁寧につくられた赤ちゃんのための五感発育玩具。

できあがった「森の輪」を使うのは、その自治体で生まれた赤ちゃん。林業と未来を担う地元の子供たちのつながりを生むプロジェクトに池田町も参画しています。

川瀬さんは、惜しまれながらやむなく伐ることになった庭木をリボーンできないか、と仲間とバターナイフを作って木の持ち主さんにプレゼントする、なんて心温まる活動も実験的に始めたそう。

 

川瀬さん

木の処理を「利用」に。そして「思い出」に。 そんな流れが作れたら所有者にとっても、きこりにとっても、木にとっても良い気がするんです。

「自伐型林業と大規模林業」「自然林と人工林」「伐った木の行方」「自然を相手にするビジネスとは」。
お二人の話を聞けば納得なのだけど、お二人に会っていなければきっと生涯知ることも考えることもなかったこと。自分が深まっていく感覚があります。

 

マウラ

読者の皆さんにお伝えしたいことってありますか?

川瀬さん

樹木に関するお問い合わせがある方はお気軽にご一報ください!!

マウラ

さて。最後になりましたが。
山で乗られている車はなんですか?

川瀬さん

スズキのキャリーです。山に入る時、軽くてハマりにくいのがいいですよ!!

池田町の地域おこし協力隊のお話。いかがでしたか?

十勝だからでしょうか。農業、酪農、林業、様々な視点から最近環境について考えさせてくれるお話が聞けてとてもありがたいなあとしみじみ感じています。

午前中の取材終わりには山の恵みを少々いただき、

お昼にはマウラの血肉となりました。ありがとう山!!

マウラの中で「地域おこし協力隊」とは半民間で半行政な取り組みができるイメージ。それって可能性が無限ということ。そして割といいとこ取りで最強なビジネスマン。
各地域の特色を生かしてのびのびと活動し、地元民だけでは広げきれなかった事を担ってくれていると思っています。どんどん新しい風を吹かせてほしいですね。

「おらが村の協力隊を知ってほしい!!」という他地域の方。連絡お待ちしております!!


池田町地域おこし協力隊(林業推進員)
TEL 015-572-3118
FAX 015-572-5895
フェイスブックページ 池田町地域おこし協力隊
住所 北海道中川郡池田町字1条7丁目11 池田町役場 産業振興課 林務係

この記事もおすすめ