
こんにちは。DO-Life特派員マウラです。

本日は椅子の張り替え職人さんに会ってきました。「椅子張りとは?」「なぜ椅子だったのか」そんな話を深掘りしていきたいと思います!!
知ってそうで知らない「椅子の張り替え」というお仕事。
お邪魔したのは十勝 池田町にある『椅子張り工房KOREKARA(コレカラ)』さん。
玄関では縫製用糸の予備がお出迎え。
工房内にも糸がびっしり!!綺麗ですねー。
工業用ミシン。

工業用ミシンって、もはやマシン!!ミシンの語源は「マシン」からきているとも言われています。
本日お話を伺うのは椅子張り職人の野々村さんです。

せっかくだから体験させてあげようと思って、作業少し残してありますよ。

*\(^o^)/*やったー!!!やってみたい!!やってみたい!!
まずは野々村さんにお手本を見せていただきます。

エアータッカー初めて。音にビビる笑。
恐る恐るバキュンとやってみると、、、

もっと衝撃波が来るのかと思ったら、全然軽い!!
失敗したらいやなので早々に野々村さんにバトンタッチしました。

では。野々村さん。お話を聞かせてください。
様々な業種がある中でなぜ『椅子張り職人』になろうと思ったんですか?

小学生の時、唯一体育と図工が好きでした。得意分野の「図工」を選んで、高校卒業後に東京のデザイン学校にいきました。そこは「グラフィックデザイン」や「プロダクトデザイン」「インダストリアルデザイン」など様々なデザインを学べる学校だったんですけど、私は「プロダクト」を専攻して、そこで椅子との出会いがあったんです。

とは言え、家具なら椅子の他にもテーブルやチェストなど色々あったわけですよね。その中で「椅子」だったことに理由はあるんですか?

これ見てよー。30年以上前の本なんだけど1,000もの椅子があるんだよー。
と嬉しそうに本をめくり始める野々村さん。

確かに、今でもよく見かけるレガシー的なデザインや素材感ですけど、1,000種類それぞれに違っていて、同じものはありそうでないですね。今の椅子の流行のベースとなるものが30年以上も前に確立されていた、ってことですね。

そうなんです!!もうすでに私が学び始めた時には機能性やデザイン性が高くて、そういうものに出会ってこの世界を単純に「楽しそう!!」と思いました。

しかも、テーブルやチェストってそのもの自体に使われる素材や柄って1種類とか2種類、例えば木製のテーブルやスチールシェルフみたいなものなど単一になってしまうけど、椅子って一つに対して、木だったり、パイプだったり、布だったり、革だったり、プラだったり、籐だったり。異素材の組み合わせパターンが多いから、限りなく無限にオリジナリティを追求できる家具なんですね。
↓ソファのファブリック見本。見ているだけでワクワクしますね。

ワタシなら選びきれなくて迷いそう!!

他にも椅子の良さって、常にどこにでもあること。日常で人に触れるものを作れるってなんかいいですよね。家にも公園にも病院にもオフィスにも。こんなに人々に身近で必要とされている家具ってないと思います。

デザイン学校を卒業されてからも椅子の道へ?

椅子だけ、というよりは、大きな家具メーカーや職人集団の中に在籍していたりしました。家具作りの他に営業なんかもやったりしていました。

東京でバリバリ家具に染まっていた野々村さんがなぜ今、十勝にいるんですか?

家具のデザインをしている時に、自分のデザインの発想は「十勝の自然」がルーツだって気づいたんです。そんな時、本当にちょうど運よく、当時いた会社の帯広支店ができることが決まって、20代前半でUターンしてきました。
工房内には野々村さんがデザイン学校時代に一番最初に作った課題の椅子がさりげなく置かれていました。

この課題の時は限られた2枚のシナ合板の範囲内で自由に作る、って感じだったんです。

それを25年も持っているんですね。

自分の原点ですから。
なんでも安く簡単に手に入る時代に、人々が椅子を張り替える理由。

椅子張りのお客様って、どうして新しいものを買わずに張り替えをするのでしょうか。

やはり「思い入れ」が一番強いようですね。結婚した時に買って、子供ができて、育って、巣立って。そんな思い出のある椅子を張り替えて長く使っていかれるのでしょう。
工房にもお客様の大切な思い出の椅子が、張り替えられるのを待ち構えていました。
過去に一度張り替えていて今回が二度目なんだそう。どなたかが毎日座って椅子の手すりに手を置いて寛がれていたことが映像で見えてくるようです。

大切なものだからこそ張り替えの素材や柄選びは本当に迷いそうですね。

そうですね。迷われる方は多いですが、自分も受け取りに行く際にお宅を見せていただき、雰囲気や使われるシーンによってアドバイスさせてもらっています。

野々村さんの仕事に対するこだわりってなんですか?

価格競争に巻き込まれず踏ん張っていくことですね。価格で勝負しない!!そのために見えない所や細部のディテールに気を使っています。それをきちんとお客様にも説明して納得していただきます。
ここで野々村さんの過去の実績のビフォーアフターをご覧いただきましょう。
↓飲食店様のチェア。必要以上に価格を下げない、というこだわりを持っていても、お客様のコストを抑えたい、という要望を知識と工夫で叶えるのが職人。
↓有名家具メーカーの一人がけソファ。表地張り替えだけではなく座面と背もたれのウレタンフォームも変えているのでふっくらピーン。
↓アンティークなダイニングチェア。こちらも座面ウレタンフォームの交換によってふっくら座りごごちが良さそうです。そしてファブリックの凹凸が存在感を引き立てています。

野々村さん。今後の野望や展望などありますか?

まずは自分でデザイン、設計したソファを一台作りたいです。将来的には自社ブランドでソファーメーカーを作り工場やショールームも持ちたいと考えています。できれば60才くらいまでに。
60才すぎで十勝に工房を作った、私の師匠の影響が大きいんです。自分の作ったものを広く出していきたいですね。

最後に野々村さん。乗っている車はなんですか?

日産のバネットバンに乗っています。家具を乗せて運ぶのに大きい車が必須で、ハイエースも良かったんですけど仕事柄「古いものを直して使う」なので、より古いのが欲しくて。
ソファは木のフレームを一つ一つ丁寧に解体する作業から始まるそうで、マウラなんかは「バキっとやったらどうしよう!!」とか「解体したはいいけど元に戻せなくなったら、、、」とか、考えるだけでゾッとします笑。
野々村さんは、若い世代の人たちにも張り替えのことを知ってほしいそう。それには買う時に「張り替える」ことも考えて購入する、という選択肢を持っていないといけないとのことでした。
安くておしゃれなセット家具もいいけど、いつまでも大切に使える価値を一つくらい手にしたいなと思いました。
椅子やソファーの張り替え、修理、各種シートカバー、クッション等の製作に関するお問い合わせはお気軽に相談してみてください!!
椅子張り工房KOREKARA
営業時間 9:00~17:00
定休日 毎週日曜日
TEL 090-6212-1187
E-mail korekara.u.s@gmail.com
フェイスブックページ 椅子張り工房KOREKARA
住所 北海道中川郡池田町旭町3丁目1−2