こんにちは。DO-Life特派員マウラです。
今回は十勝をはじめとする北海道産の小麦を製粉している企業へお邪魔してマウラも知らなかった生産者さんとの関わりについてお聞きしてきました。
十勝の生産者がいなければできなかった製粉工場
その企業とは、十勝 音更町に工場がある「株式会社山本忠信商店」。私たちには「ヤマチュウ」さんと言った方が馴染み深いかもしれません。
大きな工場です。本日お話を聞くのは同じ敷地内の別棟。
お相手してくださるのは製粉・プレミックス事業部 プレミックス量販課主査の佐藤さん。
佐藤さんはもともと十勝でも有名なお菓子屋さんで様々な部署を経験されていたそう。早速お話を伺います。
ヤマチュウさんと言えば豆問屋さんですが、なぜ大規模な製粉工場を持つことになったのでしょうか。
十勝の主要農作物は、豆・ビート・じゃがいも・そして小麦です。小麦の多くは数知れない様々な農家さんから集められたものをまとめて製粉してその粉が日本全国に流通されるのですが、生産者さんの中には「自分たちが作ったものがどこの誰にどんな風に食べられているのかわからない」という思いがある方たちも多いんです。
また、十数年前まで小麦のほとんどがうどんに使われる品種が栽培されていました。北海道産の小麦粉は大手食品メーカーさんに渡り、私たちが知らず知らずに食べているうどんなどに使われていました。
それが近年「ゆめちから」というパン向きの小麦が開発・栽培された事も大きかったですね。
そこでうちの社長が十勝に「北海道の小麦」のみを製粉する工場を作ることにしたんです。
とは言え、これほどまでに大きい製粉工場を作るには、そしてそれを「北海道の小麦のみ」で成り立たせるには、よほどの覚悟が必要ですよね。
そうだと思います。ヤマチュウが日本一の小麦生産地である十勝で小麦の取り扱いを始めたのは1989年で、1990年に設立された生産者グループ「チホク会」と共に歩んできました。設立当初はわずか15名の生産者でしたが、30年かけて20倍の300名まで増えました。この生産者とのつながりがなければ製粉工場はできなかったです。なので私たちもこの仕事に関わる上で一番大事にしているのは「生産者の顔が見える」こと。ただ商品を売るための製粉工場ではなく、生産者さんとの繋がりを大切にして、生産者さんに代わって良い商品をまずは身近な人にお届けするんです。
今までは自分たちの作っていた小麦が全国あちらこちらに流通しているだけだったけど、ヤマチュウさんの製粉したものは地元のスーパーやパン屋さんで買う事ができて、買っている人の顔も見える、そして買う人たちも作っている人たちの顔が見える。そういう相互作用が生まれたんですね。
私もヤマチュウさんの製粉工場ができた時はその大きさにとても驚いて、同時に正直「コッワ」って思ったんです。製粉で成り立つの?って。
でも、十勝という土地に製粉工場ができた事は計り知れないくらい大きい意味を持ってるんですね!!
おかげ様で商品も好評をいただいていて、今では日本国内のみならず海外への輸出も増えていて、十勝の小麦が海外の人たちにも食べられていることはとても嬉しいです。
でもやはり私たちが大事にするべきは「生産者」さんたちとの繋がり。なので、ヤマチュウの粉を使っているお店の独自クーポンを生産者さんに配布したりもしてるんですよ。
そうすると、生産者さんも自分の作っているものが使われている事を実感できるし、自分たちも食べられますしお店の人たちとの繋がりも生まれます。
パンもお菓子もこれにお任せ!!!モチモチが特徴の北海道の小麦粉。
こちらがヤマチュウさんから販売されている小麦粉。
左が菓子用中力粉、右の二つは強力粉です。2種類あるのは使っている小麦の種類が違うから。
ユメミルうさぎは「ゆめちから」ベースで他に「きたほなみ」や「はるきらり」などがブレンドされている強力粉。食パン向けに開発されたのだそう。
「春の香りの青い空」は「春よ恋」「キタノカオリ」「きたほなみ」の3種類をブレンド。パン生地に必要な吸水性と粘性が格段に高く、もっちり・しっとりした食感が特徴です。
お菓子作りには「さらさ」がおすすめ。マウラも常備しています。
私は北海道産の小麦粉を使うようになってから、その風味の良さが気に入って他の小麦粉を使えなくなりました。
佐藤さんが思う北海道産小麦粉の良さってなんですか?
北海道は涼しく湿度も高くないので虫の発生が少ないんです。なので自ずと農薬の量は減ります。そこが嬉しい特徴ではないでしょうか。
あと、北海道の小麦全般的にパンにした時のモチモチ感は強いと感じています。
こちらはバターミルクパウダーやお砂糖が配合されたヤマチュウさんオリジナルのミックス粉。
マウラは今まで大量流通のホットケーキミックス粉の独特の香りや味が苦手で使った事がなかったのですが、このミックス粉をプレゼントしていただいてからはこれでしかお菓子を作らなくなりました。
バターミルクパウダーが入っているのでバターの量が減らせますし、何も考えていなくてもちゃんと膨らんでくれます。なのでその分トッピングに力を入れられます。
↓キャラメルアップルシナモンのパウンドケーキ。
↓大学いものパウンドケーキ。
↓ラムレーズンのパウンドケーキ
どれもしっとりふわふわにできました。
フェイスブックでたまに佐藤さんも作ったお菓子の画像をアップしてますよね(笑)。
お客様にお勧めする時に、自分がその粉の性質とかお菓子作りの本質とかわかってないと全然説得力無いんですよね。
なので、地元のお菓子教室に通いましたよ(笑)。
初級・中級・上級とあってそれぞれ20回通わないといけないのですが、上級を取りました(笑)
プロじゃないですか(笑)!!!でも、お菓子作りとかパン作りって文字ヅラで知識だけ頭に入れても、作ってみないとわからないですもんね。
そうなんですよね。こんなパンにはこの粉がいいとか、こんな生地にするにはどうしたらいい、という事は作ってみないとわからないものです。
僕なんてはじめ、じゃあパン作ろうってなって小さいホームベーカリーを買ったんですけど、何回か焼いてるうちにつまらなくなって、パンを捏ねる機械やガスオーブン、発酵器まで買ってしまいました(笑)。ミキサーも10万円くらいするやつ(笑)。
(笑)私働きますんで菓子製造工房作りましょう!!
最後に今後のヤマチュウさんの展望ってなんですか?
新しい事をはじめたり、何かを広げたり、というよりはとにかく生産者さんと結びついた製粉工場である事をもっと広く知っていただけるような活動をして、それを通じて生産者さんの事も知ってもらいたいですね。ヤマチュウのミッションは“「つくる」を「食べる」のもっと近くに” 「つくる」(生産者)と「食べる」(消費者)をつなぐのが製粉工場なのです。
本日はお忙しい中、興味深いお話ありがとうございました。私もお菓子作りが大好きなので楽しかったです。
で。すみません。皆さんにお聞きしてるのですが、佐藤さんはなんの車に乗ってますか?
スズキのエスクードに乗っていますよ。初めて自分で買った車がエスクードで、その後はハイラックスサーフ(2台)、パジェロと4WDばかりで車高があり運転しやすいのが乗っている理由です。色はシルバー、パジェロがリッター8kmくらいしか走らないのと大きすぎるのでエスクードにしました。
お話を伺っていると、並大抵ではできない「製粉工場設立」という事をなぜ可能にしたのか、またその意義の大きさもしっかりと知る事ができました。
私もお菓子作りが大好きなので今度はお菓子作り談義もしたいですね。
帰りにはヤマチュウさんで出しているパスタをいただきました。これ、モチモチしていて実は大好きなんです。嬉しい。
ヤマチュウさんの商品は十勝管内の大きいスーパーや道の駅、物産店などでお買い求めいただけます。
株式会社 山本忠信商店
TEL 0155-31-1168
ホームページ 株式会社 山本忠信商店
オンラインショップ ファーム十勝
住所 北海道河東郡音更町木野西通7丁目3番地